第2章 兄と妹とその周辺
「近親相姦とかないんスか!?」
「あるわけないだろ!!おまえもう黙れ!!それ以上しゃべんな!!しゃべったらシバく!!」
そう言いながら、復活した笠松先輩は腰に蹴りを入れる。
俺は「もうシバいてるっス〜」と、半泣き状態だ。
こういう反応されると、余計期待しちゃうんスよね〜。
まぁ恋愛くらいはあるでしょ。
笠松先輩なんか、かなり怪しいし。
「えっと〜、黄瀬くん…だっけ?」
莉緒が、俺の顔を覗き込みながら尋ねた。
「そうっスよ」
「初めましてだね。藍臣高校の笠松 莉緒です。これからよろしくね」
軽い自己紹介をして、莉緒はニコリと笑ってみせた。
やばい…。
めっちゃかわいい。
「黄瀬 涼太っス!モデルやってます。これからよろしくお願いします、莉緒っち」
俺も笑顔で自己紹介をした。
営業スマイルではなく、心からの笑顔で―。
「だからどっかで見たことあったのか。モデルか〜。バスケと両立大変だね、勉強もあるのに」
「そうでもないっスよ。中学の頃からやってるから」
「へー。ところでさ、「っち」って何?」
「あー。俺尊敬した人には「っち」って付けるんスよ」
「そうなんだ。でも私と初めましてってことは、黄瀬くん1年生だよね?」