第2章 兄と妹とその周辺
side 黄瀬
朝早くから、体育館では床の擦れる音がする。
それを響かせるのは、インターハイ常連校である海常高校バスケ部だ。
俺はめずらしく朝練に参加していた。
昨日の練習試合の「初めての負け」が悔しかったのと同時に、バスケの楽しさを改めて実感することができたのだ。
またあいつらとバスケがしたい…!!
その一心で、今日から以前より練習に参加することを決心した。
「おし、朝練終わりにするぞー。全員集合!!」
キャプテン-笠松 幸男の声が響く。
それを聞いた部員たちは、笠松先輩と監督の武内の元に集まった。
軽いミーティングをして、一年生は片付けへと移る。
「黄瀬ー。しっかり片付けやれよ」
「え、何で俺だけなんスか?」
「いつも片付けしないで帰るからだ!シバくぞ!!」
笠松先輩の飛び蹴りが背中にはいった。
無防備だったので、かるく前に吹っ飛ばされる。
「もうシバいてるっス〜」
これでも改心したんスけどね。
「HRに余裕があるからってちんたらすんなよ。遅刻したら、連帯責任で一週間朝練禁止になんだからな」
「マジっスか!?遅刻しようかな〜」
「てめぇ今日の朝練何で参加した!!」
「やだな〜、笠松先輩。冗談っスよ、冗談」