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〜虹村 修造のお話〜

第54章 -旅立ち-


3月14日。


いつも通りの朝。
おじさんとおばさんは
もう仕事に行ってしまっていて、
オレは学校に行くひかりを見送るために
玄関にいた。


心の中でいっぱいひかりに
「ごめん」と言いながら。



「じゃ、行ってくるね。」


「おう。」


靴を履いたひかりが振り返り、
ニコッとしてオレを見つめてくる。


「どうした?」


「眉間にシワ‼︎
あと、唇がツンてなってる〜!」


ひかりが笑いながら、背伸びして、
オレの眉間にデコピンしてくる。


「いてっ‼︎」


「怖い顔してると、
せっかくのイケメンが台無しだよ?」


「別にイケメンじゃねーし…」


「も〜う。自分の魅力わかってないなぁ。」


それはそっくりそのまま
ひかりに返したい…。


「はぁ…ほら、遅刻すんぞ?」


「はーい。あ!修造‼︎」


「なん……⁈」




…チュ。





ひかりに腕を引かれたと思ったら、
そのままひかりにキスをされた。


唇を放した瞬間のひかりは、
ニッコリ微笑んでいた。


「いってきます。」


オレの大好きな笑顔を見せて、
ひかりはドアの向こうに行ってしまった。




”行ってしまった”って…


これからオレが行ってしまうのに…。




ごめんな。



もう一度心の中でひかりに謝る。



部屋に戻って、
机の引き出しからある物を取り出す。



今日はホワイトデー。



バレンタインの日に買った
ひかりへのプレゼント。



ひかりがいないのに
ひかりの部屋に入るのは
なんとなく気が引けたが、
ひかりの机に置いておく。


ひかりの部屋をグルリと見渡す。


初めて入った時は、
すんげぇ緊張したよなぁ…


いつのまにかこの部屋も
当たり前に入れるようになった。



ひかりの机には、
一緒に旅行に行った時の写真や
中学で一緒だった時の写真…
いろんな想い出が飾られていた。




ダメだ…



もうひかりに会いたい。





飛行機は22:55発…




時間はまだたっぷりあったが、
早めに家を出ることにした。


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