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〜虹村 修造のお話〜

第53章 -バレンタイン-


リビングに戻ると、
コーヒーのいい匂いがしていた。


「修造、ピッタリだね♪
今、コーヒー入ったトコだよ。」


そう言って、
お揃いのコーヒーカップを持って
ひかりがソファに座るので、
オレもその隣に座った。


「サンキュー。」


「あ…あのね‼︎」


「ん?」


オレの隣に座ったひかりは、
またすぐ立ち上がると、
ケーキを持ってきた。


小さめだけど、ホールケーキで、
ハートの形をしているチョコケーキ。


「あ…の…あの‼︎一応…
バレンタイン…の…なんだけど…。」


いつになく緊張して、
少し赤くなってるひかりは、
コーヒーの横にケーキを置いたのに、
その場に立ったままだった。


「なんで、立ったままなんだよ?」


ひかりからバレンタインチョコを
もらえた嬉しさを噛み締めながら、
立ちっぱなしのひかりの手を握る。


「…っ⁈えっと…なんか…
やっぱり好きな人にチョコ渡すの…
照れるんだもん…」


「付き合ってんのに?」


「うん。」


即答するひかりが可愛い。


「ありがとな。つぅか、ほんとに
もらえねぇんじゃねぇかと
思ってたんだからなぁ?」


「え⁈…付き合ってるのに?」


「「……。ははっ(笑)」」


オレと同じコトを言ったひかりのことばに
思わず2人で吹き出してしまう。


オレはそのままひかりの手を引き、
ソファに座らせて、ひかりを抱き締めた。


「ありがとな。ほんとに嬉しい。」


「うん。」


ひかりがギュッと力を込めて、
オレの胸に顔を埋めてきた。


「そろそろ食べる?」


オレの腕の中で、
ひかりが顔を上げて聞いてきたけど、
ひかりの温もりが離れてしまうが、
なんだか惜しい気がした。


「もうちょっと…」


「そんなに甘えんぼだったっけ?
コーヒー冷めちゃうよ?」


せっかくギュッと力を入れたのに、
ひかりはクスクス笑いながら、
オレの腕の中から、すり抜けてしまい、
キッチンからフォークを2つ持ってきた。


「皿は?」


ひかりは取り皿を持たずに
戻ってきて、そのままオレの横に座った。


「このまま食べちゃ…ダメ?」


「…?いや、ダメじゃねぇけど…」


「あのね、なんていうか…」



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