第32章 -運動会-
「修造っ‼︎頑張って‼︎いけーっ‼︎」
ひかりの声が聞こえ、
オレはさらにスピードをあげた。
「修造っ‼︎抜けるよっ‼︎」
1年のときみたいだな。
あん時は”虹村くん”だったけど…。
オレは走ってるのに
つい懐かしいことを思い出していた。
そして、そのままけん先生を抜いて、
ゴールの白いテープを切った。
「やったーー‼︎」
ひかりが喜んでくれているのが聞こえる。
もちろん、光平と笑未もお袋も、
チームの皆も喜んでいた。
「悔しいなぁ。負けたよ。
なにかスポーツやってるのかい?」
「あ⁈バスケ部だけど…」
「けん先生、知らないの?
修造くん、帝光中のバスケ部だよ。
しかもレギュラーで主将!
今年も全中優勝してたしなぁ。」
「いや…もう引退して…」
つか、主将は辞めたし…
「帝光⁈そりゃ速いはずだよ。」
「お兄ちゃんすごいすごい!」
「お兄ちゃん1位だー!」
オレはそのまま席に戻ると、
他の保護者や園児からも、
ちょっとしたヒーロー扱いだった。
「修造、すごいね!おめでとう!
お疲れさま。」
ひかりも声を掛けてくれる。
横にひかりがいることに
なんだかすげぇ安心した。