第32章 -運動会-
「では、お父さんたちの入場です!」
ちょうどアナウンスが流れ、
オレはグラウンドに入る。
走行順に入っていくのだが、
あのナンパ男…けん先生とやらも
アンカーだった。
「すてきな彼女さんですね。
リレーは負けませんよ!」
「は?ごちゃごちゃ言ってんじゃねーよ。
つか、ひかりに
手ぇ出そうとしてんじゃねぇ‼︎」
ナンパ男が声を掛けてきたので応戦したが、
オレらの言い争いをよそに
リレーはスタートしていた。
最初のほうこそ
年長組がリードしていたが、
バトンパスの連携ミスなどもあり、
勝負はほぼ互角…
年中、年長の1位争い。
年少には大差がついていた。
「修造くん!頼んだっ!」
アンカー前の走者が
オレの所まで来たときは、
差はつまっていたものの、
少しだけ年長のほうが速かった。
けん先生とやらは、
逃げ切るために全力疾走だ。
「うらぁぁぁぁっ‼︎」
「お兄ちゃん!頑張れっ‼︎」
「速い速いっ‼︎お兄ちゃん‼︎」
光平と笑未の応援が聞こえる。