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蜜✖️蜜ラバー 〜お嬢様は、溺愛調教中!!〜

第1章 冗談なんかじゃない






「お嬢…………っ、お嬢待てって、ば!!」



ボーッと救急入り口から外に出れば。
外は少し明るんでいて。
少しだけ身体のだるさを連れて来た。
それから。
声に合わせて後ろを振り向くと。
そこには三園がいて。
回らない頭で、彼を見た。



「組長にお嬢待ってるように言われたんですけど、早くない?彗とちゃんと話しました?」

「話…………」



とか。
それ以前の問題なわけで。
話なんて出来る雰囲気でもなかった。





「…………車回しますから、待っててください」
「ごめん。ひとりで帰りたい」
「出来ません」


「…………そうだよね」




加賀谷が撃たれたなら、桜組の組長娘であるあたしがのこのことこんな人気ない時間に歩くことがどんなに危険なことか。
わかるはずなのに。





「…………俺は、構いませんよ」
「え」
「若頭候補の話。」


咄嗟に。
掴まれた腕を離そうとするけど、三園に先回りされた。
力じゃ叶うわけない。
もう腕、振り解けない。




「あんな意気地なしより、お嬢が選んでくれんなら俺、喜んで受けますから」
「…………いくじ、なし?」
「俺じゃ全然若頭って感じじゃねぇし、他の幹部の中でも断然彗だろって話で。それなのにあいつ『欲しいならやる』とか、ふざけたこと抜かすからつい、喧嘩んなって。隙作っちまって逃げられて、挙句こんなことになるし」


加賀谷。
そうだよね。
こんなの迷惑だよね。




でも。



それでも。
やっぱり。




「…………ごめ」





気付けば。
涙。
が、こぼれてて。
三園が驚いたように、目を見開いた。



「ごめんなさい。ごめん…………」





掴まれた左手だけ残して。
その場へとしゃがみ込む。
涙をみられないよう膝で顔を隠せば。
頭からタバコの匂いがするスーツのジャケットが降って来て。
少しだけ上げた視界の隅。
三園の背中が、見えた。




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