第14章 長期任務
動きを止めるための歌をうたう。
私よりも格上の呪霊は止まることはなかったが、動きがゆっくりになった。この瞬間に七海くんが祓ってくれた。
連携を取れば1級相当の呪霊も祓うことができた。誰1人怪我することなく。少しだけ自信がついたけど、やっぱり私は後方支援がいいのかもしれない。
陸「やるじゃん!」
そう言って頭を撫でてくれる陸くん。
『ありがとう!やっぱりまだ動きを止めるまでにはならなかったなぁ…もっと練習しないと』
そんな調子で呪霊を祓って、食事して、寝て、祓って…
たしかに1年生の心を鍛えるには十分な合宿だと思う。
こんな僻地で娯楽もない状態で…こんなにも呪霊がウヨウヨいることに驚くが。疲弊していく心。呪術師の在り方や自分の存在意義を、自分を見つめる良い機会なのかもしれない。
ここで自分と向き合い、呪術師を志すか補助監督になるのか、はたまた呪術界から離れるのか…一つ目のふるいにかけるのだろう。
私は…彼らの隣に立つことを目標にしたい。
守られるだけは嫌だから。
彼らを、仲間を守れるようになりたい。
戦い方や強さはイマイチだけど、涙だけでも仲間の役に立つはず。
気持ちを強く持たないと。
約束の日、悟さんは来なかった。
きっと任務が忙しいんだ。
毎日メールはしていたけど、返信がないことに気がついたのは約束の日だった。私も疲れていて気がつくのが遅くなったけど、何かあったんだろうか?傑さんに聞いてみると、
傑「あぁ〜ちょっと野暮用でね」
と濁されてしまった。
そろそろ東京は桜の季節。
『お花見、したいなぁ…』
呟いた私の声は、青い空に消えていった。
前半に祓いまくったおかげか、後半の任務は割と軽めだった。
呪詛師の襲撃も何度かあったけど、陸くんがいてくれたおかげで大丈夫だった。七海くんや灰原くんも大活躍してくれて、歌姫さんとはとっても距離が近づいた気がする。
とても意義のある合宿になった。
帰りも気は抜けない。
移動に1日かかるし、途中で眠りこければ呪詛師に襲われるかもしれない。陸くんは結界を張るのが得意、というよりそーゆー術式だから守ってはくれるけど…というより、陸くんも一緒に帰るの?
2,3日の予定が変わったのも驚いたけど、まさか高専まで送ってくれるなんて…