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テニプリ短編集【幸村精市】

第1章 表面張力【幸村】


夢叶って美容室で働いてる私。
最初の頃は覚えることだらけで先輩に怒られたりもしたけど
数年経てばもう立派なスタイリスト。

指名してくれるお客さんも増えてきて楽しく働いてる。
あとは彼氏でもいたらなぁ。なんて思うけど
彼氏はいない。好きな人もいない。出会いがない。

先輩や同期の子が結婚して子供も産まれたりすると焦ったりはする。
でも昔ほど一途に人を好きになる事がなくなってしまったのだ。

高校の時にすっごく好きな人がいたけど、とうとう告白せずに卒業したっきり会えてない。

たいしたエピソードではないけど、当時めちゃくちゃなギャルだった私が付き合ってた彼氏にこっぴどく振られて誰彼構わず、色んな人に彼氏に振られた話し聞いてー!!とウザ絡みしてる時に、真剣に話を聞いてくれて、ずっと心配してくれてた人。
見た目がこんなだし笑いながら大丈夫。とか言っちゃう性格だから
本気で心配してくれる人が少ない中、とくに親しかったわけでもなく、なんなら喋った事あった?ってぐらいの人なのに親身に話を聞いてくれた優しい人。
落ち着いて顔を見たら学校の人気者の幸村君だった。

「俺で良かったらいつでも話し聞くよ」

そう言ってもらえてスっと心が軽くなった。
すっごいいい人じゃん。
いや、そりゃ人気あるわー。ぐらいに思ってたけど
気づいたら目で追ってた。失恋したばかりで軽いかもしれないけど、傷ついてる時に優しくされたら…ね?

でも強豪テニス部に入ってて女子からの人気者な彼を好きな子なんてこの学校以外にもたくさんいるから、この気持ちに蓋をした。

気づいてしまったら止められない。
勝ち目の無いことはしたくない。と
それでも目で追うぐらいはしちゃってたけどね。
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