第63章 柱合会議が開かれることになった
二年前の出来事を不審に思っていたなら、私は師範を裏切ってでも本部に報告していたし。
今回だって、しのぶちゃん側についていた。
そうしなかったのは、私なりに考えて、今の自分が正しいと思ったからで。
冨岡さんに命令されたり、師範である冨岡さんに逆らえなかったわけでもない。
全て私の意思でやったことだ。
「そんな顔をするな」
「!」
後悔は一切してないけど、この先のことを思うとどうしても不安は付いて回る。
それを隠すことができなくて、それを表情に出してしまったせいで冨岡さんを余計に心配させてしまった。
ふわりと頭に触れた冨岡さんの手が優しくてあたたかい。
「責任は俺がとる」
「冨岡さん………」
落ち込んだ時、いつも包んでくれて守ってくれる大きくてあったかいこの手に私は常に励まされてきた。
問題はなにも解決していないのに、こうしてくれているだけで不思議と心が落ち着いていく。
「ありがとうございます。もう、大丈夫です。それに私の責任(こと)まで冨岡さんに背負わせるわけにはいきません。恐いけど、お館様の判断に任せます。きっとお館様なら最善な決定をしてくれるはずですから」
「…………………」
いつもなら『そうだな』って言って柔らかく笑って落ち着かせてくれる冨岡さんの表情が硬い。
きっと私が思っているように、クセの強い柱たちの言動を警戒しているのだと思った。