第3章 迷宮の十字路
会いたいと思ってる人に会えないのは辛い。私は蘭ちゃんに言う。
「蘭ちゃん、私も会えない人がいるの。一人はもう何年も会ってなくて音信不通だけど、もう一人は7年ぶりくらいに会えたの。また会えると思っていれば必ず会えるよ」
もう会えない存在になってなかぎり、必ず。
「黒澤刑事、ありがとうございます」
蘭ちゃんに笑顔が戻った。
「あのくそ坊主!!!」
後ろをむくと毛利小五郎、綾警部、白鳥警部の背後にメラメラと炎が見える。
後で聞いた話。千賀鈴さんは自分の父親が誰か知っていたと。仕送りが途絶えたのも千賀鈴さんから断ったらしい。
父親が誰なのかと聞いたところ「内緒」と言いながら合掌したと。
千賀鈴さんの父親は山能寺の住職の円海だったのだ。
お寺の住職でありながら、芸妓に手を出したと言うことだ。
人生で誰と出会って、誰と別れるかは、人それぞれ色々あるものだ。
「これから少し時間あるさかい○○○○ティラミスでも買いに行きましょうか?」
その言葉に私は反応した。
「空はんが頑張って動いてくれたお礼です」
「え?でも」
「それとも買わなくてもええ?」
私は首を左右にブンブン振る。今回も迷惑かけたからなしかと思った。
「ほな、早く行きましょう。売り切れてまうよ」
綾警部の後ろを付いていく様子は『まるで犬のようだった』と白鳥警部から話しを聞いた美和子に言われた。