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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第16章 覚醒のトリガー


139.

なんであいつらは春日にこだわるんだろう。どうして狙ってくるんだろう。
……呪力なんて呪術師なら大体の術師が持ち得ている。なら術師から吸い集めていけば良いのに。私の血族が式髪に溜め込む事ができるからって目を付けたのは分かる、でも同意もなしに…同意あっても無理矢理な縛りで、私達を道具のように扱うなんて…。

東京までまだ時間がある。冷静であろうと思いながらも暴走しそうなものを抱えながら、私は生まれながらにただそういう家に生まれたって思ってた、自分たち一族についてを深く考える事にした。ただ、手段の乏しいなりになにか視点を変えれば弱いなりに対処出来る事もあるんじゃないのかって。
……悟は守ってくれるって言ったけれど。それでも自分で自分の身を守れるくらいの力は私だって欲しいもん。

私の手が暖かくて優しい大きな手にしっかりと包まれてる。
天才でも無いし、とても頭が良いってわけじゃないけれど今自分の中にある知識を机に広げるように、頭の中いっぱいに広げる。

春日の一族とは。
鎹という始まりの女が禪院を末代まで呪い続ける事から始まって、何代も何代も呪い続けてきて末裔である私が居る。受け継ぐ春日の能力持ちは今、生きているのは私と祖母。その祖母が連れて行かれた、あのリベルタに。
私はまだ抵抗出来たからこうも生きていられるんだろうけれど、祖母はどうなるか分からない。祖母もまあ頑固であるから縛りはしないとは思うけれど…。

あのリベルタという呪詛師の組織にカッとなって、それ以降ずっと私の中でぐるぐると渦巻いてるどす黒い感情。その全身を巡るものが今の私の五感を酷く鈍くしていた。歩いたりする移動じゃなくて良かった、タクシーから悟が手を引いていて新幹線まで一緒に連れて行ってくれた。時々話をした気がするけれど、あまり頭に入ってこない。いつものような面白い事を悟が言った記憶は無いから、きっと些細な世間話程度の言葉に会話の広がることの無い返事をしたんだと思うんだけれど…。

その悟のおかげで頭の中での自問自答がスムーズに出来た。疑問に思っていても深く考えなかった謎だった事。
禪院を末代まで呪い続けるって事、それは自分の血だって禪院から枝分かれしたもの。
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