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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第9章 五条求婚する


……ふっ、なんとか誤魔化しきれたな。
心のなかでガッツポーズしながらパンダから私は窓へと視線を移す。まだ木々の多い土地でまっすぐと伸びるガードレールと奥の後方へと流れていくような緑達を眺めた。
今日の夕飯何にしようかな、と。実家に居る時は父と交互に夕飯担当を変えていたから毎日となると大変だ。ひとりなら思い切り手抜き出来るけれど。流石にふりかけのみだとかに出来ないもんなぁ。

タブレットでの情報共有をしながら、黒塗りの車はどんどん目的地へと進んでいく。
今回の任務。昔、別荘ブームで大盛況だったとある緑の多い千葉の奥地。調査によると別荘地内で数年毎に人が亡くなっているという。
始めは殺人。その二年後に自殺、翌年にも自殺…人が亡くなる事は段々と噂され、別荘地からどんどん人は離れていき…経営も赤字続きになって遂には今年廃業となった。
ほぼ毎年の様に死者が出りゃ良くない噂は流れるし、その噂で様々な感情が集まる訳で。

「パンダ、熊と間違われんなよ」
「日本国内の野生にこんなプリティーな白黒の熊がいっか!」

調査内容の回し読みが終わり、真希にタブレットを返すと真希は左側を向いて(助手席の後ろがパンダだし)パンダにちょっかいを出していた。
確かにパンダが…いや、動物の方のね?
パンダの生息地は日本国内ではない、中国だ。まず目的地には居ないだろうし。ここに居る熊は黒っぽいやつだよなぁ。
私がうんうん、と頷くと隣ではしゃけ、しゃけと同じく頷いていた。狗巻の言うおにぎりの具……しゃけ、は肯定で間違いないみたいだ。

「おい、ハルカ全方位注意は怠るなよ?」

真希がパンダの居る左から右側に顔を向け、後部座席の私に向かってフッ、と笑った。
それに対して私も同じ様に笑い返す。油断して余計な式髪の消費は避けたい。今回連れ出されたのは私が戦うというよりも狗巻の補佐かつ相手を呼び寄せる囮が主な理由だし。

『おまかせ下さいな、もれなく全方向から呼び寄せて見せましょう!』
「それ引き寄せんの抑えられねぇのか、ハルカ?」
『抑えられたら良いんだけれどなぁ、とは思いつつ一族の問題ですかねぇ』

弱い呪いは触れただけで祓える代わりに引き寄せる。そのどちらかをオフになんて出来ない。
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