第6章 Episode:06*
前から野薔薇ちゃんの笑顔には骨抜きにされてきたけど、何かが違う。
いつだって野薔薇ちゃんは優しい目を私に向けてくれていたけど。
こんな……こんな、愛しくて堪らない、みたいな――――。
「、あのさ」
「?」
「私、さっき雑貨屋でね。選んでたの」
自惚れちゃだめ。勘違い、しちゃだめ。
一瞬頭に浮かんだ身の程を知らない考えを振り切るように、野薔薇ちゃんを見つめた。
「これ……」
言いながら野薔薇ちゃんがポケットから取り出したもの。
それは――――。
「……指輪」
思わずそう口に出してしまう。
澄んだ輝きが、私の眼前でキラリと光っている。
シルバーのリングの真ん中には光の加減で青やオレンジなんかの様々な色が淡く浮かび上がる、小さな宝石がひとつ。
それは最初に貰ったペンダントにも似ていて。
今だに目を奪われているのを自覚しつつ、昂揚している気持ちを押さえ込むようにして口を開く。
「これ…私、に…?」
「うん。に似合うだろうなって」
「……っ」
続けられた言葉に驚いて目を指輪から野薔薇ちゃんに向けると、野薔薇ちゃんの様子は全く変わってなくて。
「今度、選んであげるって言ったでしょ?に似合うやつ」
「……の、ばらちゃん」
「一目見てぽいなって思ったの」
受け取ってくれる?と、伺うように私を覗き込野薔薇ちゃん。
どうしよう。私、すごく混乱してる。
でも、こんな風に見つめられたら…下手な謙遜で、首を横になんて振れない。
ありがとう、と詰まりながらも籠もった声で言えば、良かった、と野薔薇ちゃんがほっとしたように笑った。
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