第4章 Episode:04*
「……野薔薇ちゃん、は」
「ん?」
「私のこと、怒ってないのか、な…?」
自分で聞いたくせに、答えを知りたくないとも思ってしまう。
でも、そんな私に虎杖くんはフッと笑って。
「なーんで釘崎がちゃんを怒るの。あいつ、ちゃんのこと相当気に入ってるよ?釘崎って、興味ないことにはとことん無関心なんだけど……あそこまで他人を気にかけるあいつ、初めて見たもん」
だから、と虎杖くんが言葉を続ける。
「ちゃんにも色々あるかもしれないけど、さ……時々でいいから、顔ぐらいは見せてやって?それだけでも、釘崎の奴安心すると思うから」
「っ、」
「釘崎さ、ちゃんは自分が思ってるよりずっと魅力的で、すっごくいい子なんだっていつも言ってんだよ。俺もそう思う。だから自信持って恐がらないでよ」
ね?と、にっこり笑われて。
あぁどうしよう、泣いてしまいそうになった。
全てお見通しなのではないだろうか…そう思ってしまう程、彼の一言一言が深いところまで確実に沈んでいく。
熱を含んだ感情の波が全身に広がっていっている錯覚に陥ったのと同時に、私を押し留めていた枷みたいなものが、カチャリと外れたような気がした。
情けない表情しているだろう顔を見られたくなくて、下を向いたままこくりと頷く。
すると、雰囲気で虎杖くんがあの素敵な笑顔を浮かべてくれたのが分かって。
ほったらかしにしていたパフェは、どろどろに溶けてしまっていた。
*