• テキストサイズ

[BLEACH] 世界を超えて

第6章 自覚


 白哉は自室に戻り、ため息をついた。
 あの時の―…食事の時の美穂子が、目の奥に焼き付いて離れない。

 少し寂しそうな表情は―…確かに傷ついていた。

 白哉は言い訳しそうになった自分をぐっと押さえて、美穂子に言葉をかけてやれなかった。
 いくら美穂子を疑っていないのだと言ったところで、行動を変えてやることなどできないのだ。

 そして、美穂子がこの家にいるのも―…命令であることに違いはない。
 それが悔しい。

 美穂子は白哉から見ても、とても頑張っている。
 慣れない環境の中、必死に自分のできることをして、周囲に迷惑をできるだけかけないようにしている。
 それでも、上層部は変わらない。
 命令が覆るのことなど―…ありはしないのだ。

 異端者、と自分を呼んだ美穂子が―…ひどく哀れに思えてしまった自分は、なんと愚かなのか。

 白哉は頭を振ると、自室の戸を静かにあけた。
 空には―…美穂子と出会った夜のような、美しい月が浮かんでいる。

「美穂子…」

 白哉は無意識に、呟いた。

/ 89ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp