第6章 満月の下で
バスタオルしか身に付けていないリンの身体に毛布をかけ
セツナは彼女の部屋を後にした
リビングに戻ったセツナは
テーブルの上のグラスにウォッカをドボドボと注ぐと
一気にあおった
先程のリンの声が
頭の中で繰り返し聞こえていた
" ……アナタが好きなの…… "
リンが自分に好意を持ち
慕ってくれていた事は
ずっと昔から気付いていた
その頃の彼女はまだ小さかったため
幼い子供のかわいい想いとして
微笑ましく受け止めていた
けれど
時間が経つにつれ
リンはどんどん大人びていった
まだまだ子供には変わりないのだと
十分理解していても
ふとした瞬間に見せる彼女のしぐさや表情に
ドキリとさせられた事もあった
リンの想いを聞いて
彼女の顔が近づいてきた時
静止できなかった自分に愕然とする
窓の外に浮かぶ満月に
心を見透かされているようで
セツナはもう一杯グラスをあおった