• テキストサイズ

partly cloudy 【ヒロアカ】

第12章 いざ合宿





霞を風呂に向かわせ、
談話室を出て補習内容の確認をしようとブラドの部屋に向かう途中、廊下で霞の声が聞こえた。






「でもね、私が一番尊敬している人がね、言ってくれたんだ。
お前は兄みたいなやつになるなって。
家族を悲しませるようなやつになるなって。
家族を失う悲しみを知っている奴は誰よりもいいヒーローになれるって。
だから私はね、ヒーローになりたいって思ったんだよ。
私たち家族みたいに、家族を失って悲しむ人を減らしたいって。」




話しているのは、マンダレイの従甥の子…か?



俺が高校生の時に霞に伝えた言葉。
まだ覚えてくれていたんだな。







合宿前、心操のトレーニングを見ていた時の事を思い出す……




「霞先生の言ってた高校のひとつ上の先輩って、相澤先生のことですよね?」



「あ?」



「前に話してくれたんです。
その先輩が私のヒーローであり、原点なんだって。」



「……なんで俺だと思ったんだ?」



「なんとなく。
仲良さそうだし、霞先生が慕ってる雰囲気があったんで。」



心操は勘がいいな。
よく見てるというか、なんというか。
それとも霞が分かりやすいのか…。



「俺とその先輩が似てる、とも言ってました。
……俺もその先輩みたいに人を導いていけるようなヒーローになれますかね?」



心操が木に寄りかかりながら空を見上げて呟いた。
俺も同じように空を見上げた。



「さあな。お前次第だが。
少なくともその先輩よりは素質あるだろうよ……」





俺はゆっくり目を閉じて、
洸太くんとの霞の言葉を思い出す。


本当は、霞はヒーローになんてならず普通に女として普通に幸せになった方が良かったのではないか……そう思ったこともあった。

俺が霞の人生を苦しい方へ歩ませてしまっているのではないかと思い悩んだこともあった。






なぁ、白雲。
俺が少しでも霞の力になれていたのなら、これで良かったんだよな……。


今は亡き、友に語りかける。




いつの間にか霞と洸太くんの気配はなくなっていた。

俺はフゥ…とひと呼吸置いて
再びブラドの部屋へと向かった。


/ 446ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp