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partly cloudy 【ヒロアカ】

第12章 いざ合宿






「私はね、高校生の時に兄を亡くしてるの。
敵が街で暴走して、壊れた建物から市民を守って自分は瓦礫に……。
いろんな人にね、兄はヒーローとして立派だったって言われたんだ。
でも私はそんなこと全く思わなかったの。
家族を悲しませておいて何がヒーローだって。」




洸太くんは黙って聞いてくれている。
きっと同じだって思ってくれている。



「でもね、私が一番尊敬している人がね、言ってくれたんだ。
お前は兄みたいなやつになるなって。
家族を悲しませるようなやつになるなって。
家族を失う悲しみを知っている奴は誰よりもいいヒーローになれるって。
だから私はね、ヒーローになりたいって思ったんだよ。
私たち家族みたいに、家族を失って悲しむ人を減らしたいって。」




洸太くんは俯いて少し震えている。
私には父も母も生きている。
洸太くんの痛みは私なんかよりもっと大きいはずだ。
だから簡単に割り切れるものではないと思うし、個性をヒーロー社会を憎むのも当たり前だと思う。
だからこそ、洸太くんを照らしてくれる光が必要なのだと思う。


私にとっての消太くんのような。




「洸太くんにも、いつか現れるよ。
洸太くんにとってのヒーローが。
だから今はそのままでいいんだよ。
無理に理解しようとする必要なんかないよ。」



洸太くんを見つめた。
少しでも気持ちが伝わるように。
洸太くんも少し考えてからポツリポツリと言葉を発した。




「……飯うまかった。
プリンも……ありがとう。」



またプイッと顔を逸らし、
キッチンの方へ歩き出した。

何か、力になれていたらいいな。

そんな事を考えながらお風呂場へ歩き出した。






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