第1章 屋上と横顔
『ネーークストッ!!!
俺の大事な妹分!
キュートなルックスのコットンキャンディガ~~ル!
皆んな、コイツに票入れてくれぃ!!
ヒーロー科、一年!白雲霞~~!!!』
「私情入りまくりだな」
山田の紹介に呆れつつ、ついに霞の出番だ。
ステージに注目する。
するとステージの裏から
一つの雲がフワフワと出てきた。
会場がザワザワとしている。
なんだぁ?と皆んな不思議そうに雲を見ている。
ポンッと雲が消えたと思ったら
雲の中から霞が出てきた。
白いふわふわのドレスで。
そのままステージに降り、前に進む。
ランウェイを手を振りながら歩き、
ランウェイの終わりまで来ると
パチン!と指を鳴らし、雲を等間隔で10個ほど出し、雲のランウェイを作った。
その雲の上をぴょんぴょんと飛び移りながら客席に手を振ったり笑顔を振りまいている。
最後の雲に飛び乗るとその雲で観客の頭上を飛び回り、最初に出てきたステージ上に戻ると雲から降りた。
ランウェイになっていた雲を観客の頭上に移動させ、指をパチン!と鳴らすとポンッと雲が消え雲があった場所から紙がヒラヒラと舞い降りてきた。
俺と白雲も一枚ずつ紙を掴むと
その紙には【1年A組焼きそば屋!きてね!】と書いてあった。
宣伝かよ、合理的だな。
フッと笑うと観客からもドッと笑いが起きる。
そして霞に視線を戻すと
もう一度指をパチン!と鳴らし
雲で文字を作っていた。
【THANK YOU】
霞はスカートの裾をつかみ
客席に向かってペコリと頭を下げた。
ワアァァァァァ!!!!
と一番の歓声が上がり霞がはけていった。
そしてフワフワと形を崩していく雲が
とても綺麗だった。
雲が完全に消えるまで拍手と歓声は鳴り止まなかった。
「な、言ったろ?
度胸あるんだぜ、あいつ!」
白雲が俺の方をみてドヤ顔をしている。
「あぁ、凄かったな」
だろ〜!?とニカッと笑って
近くの人達に俺の妹なんす!!と自慢して回っている。
今までのパフォーマンスで一番だった。
少なくとも俺はそう思った。
正直、霞以外はよく観ていなかったが。