第1章 屋上と横顔
昼休みも終わりに近づき
霞は自分の教室へ戻っていった。
俺と白雲、山田も教室へ戻るため
階段をタンタンと降りていた。
「消太がミスコン見に行くなんて珍しいな
去年はくだらないって行かなかったろ」
白雲が聞いてきた。
「そりゃあ、仲良い奴が出てたら見に行くだろ。」
「可愛い妹分が頑張るって言ってんだ!
晴れ姿見守ってやらなきゃなぁ!」
山田がYEAH!と叫んだ。うるさい。
「オイオイ、相澤~!
霞のファンが増えちまったらどうするよ~!?」
HEYHEYHEY~!と肩組んでくる。うるさい。
「なんで俺に聞くんだよ」
「お前、最近霞と仲良いじゃんかYO!」
「確かにな!
ショータが女と話すのなんて珍しいもんな!
まあ、霞はお前らにとっても妹みたいもんだもんな~」
前を歩く二人には聞こえないよう
ボソッと呟いた。
「妹か・・」
霞は可愛い。
見た目は目を引く容姿だが、それだけじゃない。
いつも俺と話す時は笑顔だ。
何より一緒にいる時の空気感。
騒がしくもなく、静かすぎるわけでもない。
一緒にいてとても落ち着く。
目標も夢も、未だよく定まっていないようなどうしようもない俺を頼りになると言ってくれる。
俺はそんな人を助けたりアドバイスできるような人間でもないのに。
霞が頼りにしてると言ってくれるだけで少しでも自分が役に立てているような気がしてくるから不思議だ。
この感情が白雲の妹だからなのか、
それとも霞だからなのか、
本当は気付いているが気付いていないフリをした。