第10章 玖 柱稽古
翌日、鍛錬中に白音から冨岡さんが水柱になったと聞いた
自分で薦めといてなんだが、柱になると少し遠い存在になった気がした
木々に色が付き始めた見廻り帰りの昼間ーーーーー
蝶屋敷以来の宇随さんに会った
「お前肺が凍ったってな、どんな感覚だった?」
『呼吸すると肺が割れそうな感じだったかな…』
「派手派手じゃねぇか!俺も味わって見たいもんだ」
この人の脳みそはイカれているのだろうか
あんな苦しみ二度と御免だ
「この後時間あるか?」
『?』
「稽古でもすっか」
『え…』
「あからさまに厭な顔すんなよ…あぁ、下弦の鬼ごときで死にかけるもんな、そりゃ俺にすら勝てねーわな…」
の空気が変わった
『…分かった、稽古する』
「ほう、今回は随分と素直だな?」
掛かったなと宇随は思わずニヤリとした
『私は弱くない』
そんな宇随を睨み付けるように見上げた
宇随さんは瞬時に私の性格を見抜いた
そしてまんまと挑発に乗り、付いてきてしまった
だが人を救ったとは言え、あの時の任務は柱としての自尊心を傷付けていた
そんな不甲斐ない自分を払拭したかった
傷を抉る宇随さんは鬼のようだが今回は利用させて貰おう…