第2章 こわさと、やさしさ
責めから逃れようと腰を捩ったが、狂児はそれを追いかけて、楓の体を抑えて責める。体が勝手に反応してしまい、びくびくと跳ねた。
「あっ…あー、あぁ、ゃ、ぃやぁ……」
水音がする。ソファにかけているカバーにかかる音。もしかすると狂児にもかかっているかもしれない。体を捩って肘掛に顔を伏せた。
「おーおー、こらまた派手に潮噴いたなあ」
まだ、手での責めは続く。指を二本に増やされ、今度は背中側。
「もう、あっ、ゆるひて、あぁ」
背骨から首の後ろまで気持ち良さが這い上がってゾクゾクする。腰が抜けそうだ。
「楓ちゃんは気持ちいい所がいっぱいあってええなあ……俺は大忙しやで」
「ひぃ、あ」
ぐち、と音がして、指が三本に増える。圧迫感に目が眩む。さらにまたクリトリスをつまんで扱くように擦られ、燻っていた絶頂の導火線に新しい火がついてしまう。
その火はあっという間に再び楓を登りつめさせた。
「あぁ、いやぁ……!あ、あ、あ」
「5分で2回。なかなかやな」
狂児が指先で楓の絶頂を味わっていると、インターホンが軽快に鳴った。
「着いたか」
楓の下半身を解放して、狂児がインターホンへ向かう。
「はあ、はあ……」
楓はスカートを直し、ソファカバーを体に巻いて、未だ快感の余韻がひかない下半身を覆った。
「狂児さん…指拭いて……」
「ん?」
エントランスとやり取りを終えた狂児が片眉を上げてこちらを見る。
「指、汚れてます……私ので……」
「汚れてないよ。んー……どんな甘いもんより楓ちゃんのが甘い」
楓の中に入れていた中指の背を鼻に近づけて匂いを嗅いでいる。楓は悲鳴をあげた。
「嘘や、そんなん!!変なこと言わんとってぇ……」
「ほんまやで、甘ーい匂いする。たまらん、女の子の匂いやな」
へら、と綺麗に笑ってとんでもないことを言う。
信じられへん、この男。変態。
変態なのは知ってるけど。それにしたってひどい。
「はよ片付けて、美味いもん食いに行って、エッチしよなあ。ベッドで無茶苦茶かわいがったるわ」
「私……もう、今日は保たないかも……」
「うそ〜ん……!」
狂児がその立派な眉を下げてふざけた声を上げながら慌ててこちらに戻ってくる。
「優しく……してください……」
「分かった、優しくするな」