第2章 消えた雨粒
童磨は美雲の手を引き、歩き出す。
美雲は無心だった。この悲しみの淵から救ってくれるのなら、この手を離したくない。
ただただ、手を引かれるほうへ歩いた。
歩いている途中、遠くに町の灯りに気付いた。生まれ育った町だ。
町で一番大きい通りに人が集まっている。歩を進めるたびに遠ざかっていく町並み。
遠くに見える町並みをぼーっと見つめる。
生まれ育った町だ、見知った顔も多く見える。しかし。人々は皆、恐怖の表情を浮かべている。逃げ惑うように走っているのだ。
皆、なにかから逃げるように走る。ぶつかることも厭わずに必死に逃げている。叫び声や泣き声も聞こえる。
、、、何かが起きている?
私は立ち止った。立ち止った拍子に童磨と手が離れた。
童磨が振り返り、不思議そうにこちらを見る。
町並みに身体を向け、また目を凝らす。
人々が恐怖の目線を向ける先には、女がいた。
獣のように背を丸め、人々に飛びつく。
着物は真っ赤な血がべっとりとついている。
_____ドキドキドキ…_____
心臓が嫌に脈を速く打ち始める
(、、、知ってる。、、、私はあの着物の柄を。)
(、、、あれは間違いなくお母さんだ。)