第2章 消えた雨粒
混乱する心の中で必死に童磨の話を整理する。
母は”鬼”になってしまった。
この世に強い怒りがあったから。
”鬼”になる過程で何度も私の名前を呼んでいた。
、、、母はそんなに私に怒りを抱いていたのだろうか。得体のしれない”鬼”という存在になろうと思うほど私を恨んでいたということか、
突きつけられた現実に美雲のこころは締め付けられた。母自身にぶつけられた言葉を思い出す。
___あんたが死ねばよかった___
私の存在が母を苦しめていたんだ。
私なんか、私なんか____
居なければよかったんだ。
美雲の中でも何が壊れる音がした。
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【童磨side】
俯いて何か考え込んでいる美雲の姿を童磨は静かに眺めていた。
(変わった子だなぁ。鬼を前にしてこんなに無防備だなんて。でも鬼がなにか知らないから仕方ないかぁ。)
などと呑気に考えていた。しばらくすると美雲が肩が震えはじめた。
(泣いてる?)
童磨はそっと美雲の肩に手を置く。美雲はビクッと身体を強張らせた。
「、、、きみも苦しんでるんだね。俺がきみの苦しみを忘れさせてあげるよ。」
手から感じる美雲の小さい背丈、華奢な肩、弱弱しい息遣い。
(あぁ、この儚くて今にも消えてしまいそうな子を
、、、早く食べてしまいたい)