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【鬼滅の刃】 彷徨う水面

第1章 はじまり



私は白石美雲。
特に取り柄もない普通の人間。でも別に取り柄がないことを悩んでいる訳ではない。素敵な家族に囲まれてむしろ幸せだ。


父と母の3人家族。父は5年前に身体を悪くして亡くなった。母は父が亡くなったことで心を病み、床に伏せるようになった。
それはそれは仲のいい家族だった。町の人たちから見ても"あたたかな家庭"といえば白石家と答えるほどに。


父は優しい人だった。背が高く、細身ではあるが男性特有のガチッとした筋肉はあった。町人からの人望も厚く、街に出れば沢山声をかけられた。


「よッ!今日も元気そうだなぁ!お前さん見てると元気がでるなぁ!」

「娘ちゃんとおでかけ?うちの旦那にも爪の垢煎じて飲ませたいわ!」


父と出かけるのが好きだった。父に肩車されると見える世界は高く広く、私をわくわくとさせた。私が目を輝かせていると、父が笑いかけてくれる。とても幸せだった。


母は色が白く、儚い花のようなひとだ。なぜ対極のようなハツラツとした父と結ばれたのか何度か聞いてみたが、いつも「そばにいたい、それだけよ」と答えるとだけだった。
もっと馴れ初めとかを根掘り葉掘り聞きたかったけど、母の答えはそれだけだった。


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