第10章 圧倒的な力
美雲が苦戦した泡の技も刀でねじ切る。
破裂しようが毒が漂おうが、不死川の風の呼吸の前では意味をなさない。
瞬く間に鬼の首を斬る。鬼の姿は朽ちて消えていった。
あっという間の出来事で、美雲は唖然とした。隊士が何人も命を落とし、私も刃が立たなかった鬼を、いとも簡単に倒してしまったのだ。
これが柱の力。自分がいかに無力かを思い知る。
「傷が深ぇなァ、藤の花の家紋の家じゃあ対応しきれねェ。胡蝶のところで見てもらえェ。」
いつのまにか近くにきていた不死川に声をかけられる。
「助けて頂いて、ありがとうございます。…あの、胡蝶のとこというのは?」
「蝶屋敷行ったことねえのかァ。」
不死川は美雲をジロジロと見る。
「…隠待ってたら毒が回りそうだなァ。チッ、しょうがねえなァ。」
そう言うと、不死川は美雲をひょいと肩に担いだ。
驚きで美雲は目を丸くする。
「その足じゃ歩けねぇだろォ。」
先ほどの歩き方を見ていたのだろう。
不死川は走りだす。すごい速さだった。