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【鬼滅の刃】 彷徨う水面

第10章 圧倒的な力




鬼が指で輪を作り、泡を大量に生み出す。



(来るっ!!)



泡を割ると毒が流れるため斬る事は出来ない。触れたら爆発、足元には踏み込めない水溜り。
動きの鈍いこの足では間合いに踏み込むことも困難だ。
厳しい状況だが鬼を仕留めなければならない。迷っている時間はなかった。



美雲は構える。



「 全集中
"雨"の呼吸 弐ノ型 黒雲白雨 (こくうんはくう) 」



黒雲が立ち込め急に降り出す雨の如く、素早く刀を振るう。
刀が鬼の首に届く。鬼が焦りの表情を見せる。



(いけるっ)



そう思った時だった。
鬼が作り出した泡が美雲の動きによって空中を漂い、そして水溜りに触れる。その瞬間、泡の柱は噴き出し、周辺に漂っていた泡は巻き込まれるようにして次々に爆発する。
美雲は爆発に飲み込まれる。鬼の首を斬り落としていない以上、守りの姿勢は取れなかった。もろに爆発の威力を受け、美雲は飛ばされた。



受け身を取ることもなく地面に叩きつけられた。
右肩に激痛が走る。爆発に巻き込まれ、肩にはえぐれるような傷を負い、脱臼してだらんと落ちていた。腱や血管、神経も損傷して、手先に上手く力が入らない。



鬼は首は斬り落とせてはいなかった。鬼の首に負わせた傷も既に治癒してきている。



負けるという言葉がよぎる。この腕では刀が持てない。しかし、守る命がある限り諦めることは許されない。
美雲は左手で右腕を押さえる。



「ァァァアアアア゛ッ!!!」



力任せに右肩を整復する。激痛が走る。声を上げずにはいられなかった。
なんとか右肩は元の位置に戻った。重だるい鈍い痛みが残る。息が乱れるのを必死に整える。
なんとか両手で刀を握る。上手く握れない右手を左手で押さえつけ、なんとか構える。
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