第10章 圧倒的な力
「クックックッ。この技は爆発だけじゃない。泡の中には筋肉を弛緩させる毒が入っている。その毒を吸ったら最後。呼吸できなくって死ぬ!さぁ苦しめ鬼狩りども!!」
鬼が高笑いする。
鬼の足元で何とか生きていた隊士も今はピクリとも動かない。支えていた隊士もすでに顔色は真っ白になり、手先は冷たくなっていた。
美雲は仲間の亡骸を静かに横たわす。
ここに立っているのは美雲だけ。
温かな時間を共にした仲間たちを一晩のうちに失った。大切にしたいと思った矢先だった。
美雲は刀を抜く。刀を握る手は怒りで震える。ふつふつと湧き上がる憎悪。心臓のように血管も拍動し、身体が熱くなるのを感じる。冷静さを失った美雲は鬼へと突っ込んだ。
鬼は指で輪を作る。美雲はその動作に瞬時に反応し、身をひるがえす。放たれた泡を避ける。
避けながら間合いを詰めていく。漂う泡の予測できない軌道に態勢がきつくなる。それでも何とか刀を構える__。
「水の呼吸 参ノ型 流流舞い」
「グァァッ」
鬼のくぐもった声が聞こえる。鬼の身体に無数の攻撃を加えたが、傷は瞬く間に治っていく。
鬼はまたニヤリと笑みを浮かべる。