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【鬼滅の刃】 彷徨う水面

第9章 歪む糸





美雲は多くの任務を遂行した。
鴉が任務を伝え、任務地へ足を走らせる。時には死線をくぐり抜けながら鬼を倒す。倒しても倒しても鬼は出てくる。
鬼を殲滅するには大元を絶つ必要があるが、次から次へと湧いてくる鬼を倒すことで手一杯だった。それがいかに鬼の中でも格下かは分かっている。



戦いを重ねる中で蓄積される経験。戦い方を学んでいく。
技は研ぎ澄まされ、傷を負うことも減る。身体の負傷が少なければ、次の任務に早く出れる。半ば無茶なやり方で力を叩き上げる。



倒した鬼の数で言えば同期とは比べ物にならない。階級もどんどんと上がった。周りから三月で葵から丁まで上り詰めるのは快挙じゃないかと囃し立てられたが、階級はどうでも良かったので適当に受け流す。
美雲を褒める言葉が聞こえる裏で、身体の酷使ぶりから気味悪がられていることには薄々気づいていたが、それもどうでも良かった。



今夜も任務に発ち、鬼を倒す。



血を払うように刀を振り下ろす。美雲の刀が月夜を映すかのごとく淡く輝く。その刀身を見つめる。



「…やっぱり刃こぼれしてる」



刀を雑な扱いをしているわけではないし、鬼を斬るときも力任せと言うわけではない。薄々感じていたことが徐々に確信に変わっていく。


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