第7章 色変わりの刀
最終選別を終え、日輪刀が届くまでは約半月ほどある。
美雲は以前のように朝から晩まで鍛錬に明け暮れた。童磨とのこともあり、鱗滝さんも刀を使った鍛錬の相手をしてくれる。
流石は元柱。気を抜けばすぐに隙をつかれる。絶え間ない呼吸、正確な技。1年以上、鱗滝さんの元で鍛錬をしているが、まだまだ学ぶことは多い。
キンッ、キンッ
刀がぶつかり合う。
…ジャリッ
私でも鱗滝さんのでもない足音に手を止める。鱗滝さんもその音の方向に目を向けていた。
「いやぁ、すごい迫力ですね。家に伺ったのですが、どなたもいらっしゃらなくて、どうしようかと思っていたのですが。刀のいい音がしたものですから。」
ひょっとこの目をした男が話す。客人だと分かり慌てて刀を鞘に収める。
「家の方に訪ねてくださったのですね。鍛錬をしていたもので…。どのようなご用件だったでしょうか。」
男に詫びを入れながら、丁寧に言葉を返す。
「私は刀鍛冶の鉄穴森鋼蔵と申します。白石美雲殿の日輪刀をお持ちしました。」
「私が白石です!刀、楽しみにしていたんです!どうぞこちらへ!」
鉄穴森の持ってきた刀の包みを見て、美雲はぴょんぴょんと跳ねるような歩調で家へと案内する。
「そんなに楽しみにしていただけて嬉しい限りです。可愛らしいお嬢さんですね、鱗滝殿。」
「ああ。」
美雲の笑顔につられて、面で隠れた2つの顔も緩むのであった。