第10章 恋人同士
「…変な虫がつかないか心配…。」
「…変な…虫…?」
「そう、君は可愛いから。」
「…可愛くない…。」
「可愛いの…だから困ってんの……ん~、帰りは何時頃?」
「…わ、わからない…。」
「帰りは歩き?」
「た、多分…?」
「俺が迎え行くから。」
「で、でも…夜中かもしれな」
「夜中はダメ。」
「え…。」
「ん~……ちょっと立って。」
「…?」
「いいから。」
私は言われた通り、ソファーから立ち上がった。
「後ろ向いて?」
「…」
後ろを向いた。
「抱きしめるよ?」
「…う、うん。」
前に怖くなったことを覚えていてくれたのか、ちゃんと声をかけてくれた。
「!…」
抱きしめられ、そのまま黒河さんはソファーに座った。座ったまま後ろから抱きしめられている。
「…心配…。」
私の肩に顎を乗せた。
「菜月ちゃんは魅力がありすぎんの…。」
「…な…ない…。」
「あるの……帰りは俺が迎えに行くから…連絡して?あと…変な男に絡まれそうになったらすぐに逃げて。」
「わ…わかった…。」(逃げれるかな…。)
「…心配…。」
「…そんなに…?」
「当たり前。」
「…?」
わからなかった…心配される意味が…。