第10章 恋人同士
*
10分経過……。
「ねえまだー?」
「も、もう少し…え、怖い…。」
*
10分経過…。
「…もういい?」
「も、もう少し…。」
*
「ん、い、いける…!」
「ん…やっと?」
待っている間、優衣は飲み物を飲んだりスマホをいじったりアイスを食べたり……。
「いくよ?」
「っ…。」
優衣のお気に入りのぬいぐるみを抱きしめながら目を瞑る。
「…3、2、1。」
カチッ!と音が鳴り、その後耳がじんじんと痛んだ。
「!…え…痛っ…!」
「ん、貫通した。」
「こ…これ…付けて…。」
「了解。」
ファーストピアスは変えない方がいいらしい。安定してから変える方が良いのだとか。
「ん、可愛いじゃん!」
「ありがとう。」
「消毒とかしないと膿んじゃうことあるから気をつけて?」
「わかった。」
*
「ねえねえ、明日ってなんか予定あるー?」
「明日は…特にはないかな。」
「あ、ホントに?」
「…?」
「いや…明日ね友達が飲み行こうって言ってくれたんだけど、一緒に行かないかなって。」
「…でも…知り合い…いないし…迷惑じゃないかな…?」
「全然?みんなフレンドリーだし、菜月と話してみたいって子もいるんだって!」
「…そう…なの…?」
「うん。あ、もちろん、彼氏持ちだから手は出すなって男子には言っとく!」
「…う、うん、じゃあ…行く。」
「オッケー!じゃあ明日17時に迎え行くよ!」
「わかった、ありがとう。」