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マイハート・ハード・ピンチ

第11章 素敵はばたき恋の歌


間も無くして、ディスプレイには『はばたきベイスターズ球団歌 熱き星の翼よ』が表示された。
(嵐、まさかの球団応援歌…!?)
翠が笑いを堪えていると、新名も同じことを考えているようで、顔が必死に笑いを堪えている。

嵐はその日、いろんなスポーツの応援歌を延々と歌い続けた。
音楽を聴かないらしいことは翠も新名も知っていたので、最初は笑いを堪えていた二人も、時間が経つにつれ、「なるほどな」と妙に納得の面持ちをしている。

「俺、ちょっと飲みもんとってくる」
そう言って嵐が席を立つと、部屋には翠と新名の二人きりになった。
ふと、新名が曲を選ぶ手を止めて、翠のほうを見た。
二人きりになるのは、あの花火大会の日以来である。翠の心中に緊張が走る。
そんな彼女の気持ちを知ってか知らずか、新名はちょっと上目遣いで、様子を伺うように、おそるおそる話しかける。
「翠さん、あの、この前は…本当にごめん」
「えっ……!?」
翠は、新名が単刀直入にこの前のことに触れてきたのですこし動揺した。
「いや…さ、俺、翠さんにかなりひどいこと言っちゃったし…。それからすげえ気を使わせちゃったのも知ってるし…ホントごめん!」
このとおり!と、彼はギュッと目を瞑り、顔の前で手を合わせている。
翠はその必死な様子を見て、クスッと笑った。
「わたしこそ、いろいろ無頓着すぎて、ごめんね。でも、わたし、こうして三人でいる時間が、何より好きなの。だから、わたしは…その…これからも…」
翠が言い淀むと、新名が今日一番の屈託のない笑顔で言う。
「そんなの当たり前じゃん!俺も今日、やっぱこの三人でいるのがスッゲエ好きって改めて思った!」
翠は、瞳をうるませながら、「…うん!」と頷いた。彼女の願いにとって、これ以上ない言葉だ。
「コラ。泣かないの!…これからも、よろしくね。あと、あんがと」
新名も照れたように俯いている。
(なんか、逆に照れ臭い空気かも…!?)
翠が妙にドキドキしていると、嵐が帰ってきた。
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