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【HQ】喧 嘩 止 め た ら 殴 ら れ た !

第3章 3分の1でも選ぶとは限らない






「侑、最近テレビ出たからってイキってない?」

 聞こえて来たのは放課後、治の廊下を通った時にそんな話題が耳に入った。たしかこの前もここのクラス...放課後数人くらい居たような気もする。教室前を横目で通る。女子達がお菓子を囲んで雑談しとる。ていうか、あの左に座って喋ってるアイツ三日前に俺に告ってきた奴やんけ。ここの教室は治のクラスやろ。なんで他クラスの奴がおるん。どういう集まりなん?

「観賞用のイケメンやろ、あの顔絶対彼女に手上げるタイプやで!」
「わかる!! うちだったら絶対選ばん!」
「それな! うちのクラス侑じゃなくて治なのホント当りや!」

 何言うてんねん。こちとらお前らなんか選ぶ選択肢すら、眼中にすら入ってへんねん。耳障りな話を聞いて、足早に教室前を通り過ぎようとした。ああいうのは、放っておけばええ。言わせておけばええねん。所詮、負け犬の遠吠えや。
 厭味ったらしく、いっそのことわざとらしく足音を立てて歩こうと力んだ時だった。

「そうなの? 私はそんな印象全然なくてびっくりした。結構、真面目に?練習とかしてたし......そういうものなの?」

 耳障りな声をかき消すかのように、まるで香りが漂うみたいにふんわりとした声が廊下を伝う。

(水田さんの声や、)

 教室の前を通り過ぎて、通り過ぎるフリをして近くの廊下で立ち止まった。教室のドアは開きかけで、座ってる場所のせいか水田さんは見えんかった。「この味美味しいね、定番化して欲しい」と、水田さんの声がする。話し飛びすぎやろ、いいからはよ話し戻してや。俺が聞きたいのはあんたらが食べてるお菓子の話じゃないねん。

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