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ゼルダの伝説 時を超えて

第1章 第一章


美しく見えたこの森にも魔物というものが存在するらしく。

「無理無理無理無理無理です」
「大丈夫だから」
「必ず迎えにくるからあの魔物を倒すまでここで待ってて」
「置いてかないでー!!!」

不思議な道具で空を飛ぶように消えた彼。

魔物というのは、どれも歪な形をしている。
有名なドラゴンだって、馬をモチーフにしたものもいれば、トカゲやワニをモチーフにしたものもいるように、実際に存在しない異生物だからこそ魔物と呼ばれるのである。
そして、目の前にいるそれこそがまさに…。

「ぶ、ぶた…」

実際は豚というより猪に近いのだが、突然のパニック状態での語彙力ではこれが限界。
え?猪にビビってんの?って?
目の前の魔物が猪ならまだ良かった。猪の顔を持ちながら、その体は巨体を誇るボディビルダー。肩に鎧をつけて真っ直ぐ持った武器は誰かを殺すためにある。ここでジッとしていても彼が来る前に見つかるのがオチだわ…。

ああ、私、ここで殺されるのね。人生なんてロクなもんじゃねぇ。

ギュッと目を閉じて速やかに殺されるのを待った。

「でぇああああ!!」

そういえば、飛んで行った彼は一体、何をしてるのかしら。

「でぇあ!!せぇ!はああああ!!!」

スカイさんと思われる声に続いて醜い声を上げながら巨体が次々と倒れていく音。まさか…。

「…うそ…」

魔物はまるでその場所にいなかったように塵となって消え、残されたルピーを片手に彼はこちらを見ていた。

「1週間くらいは飯の心配しなくて済みそうだ」
「そこじゃない!!!!」
「魔物のことか?ああ、だとしたら心配しなくていい。もう全部倒したから」
「そこでもない!!!!」
「とにかく急ごう。時間が経つと魔物はすぐ復活するんだ」
「え、あ、ちょっと、スカイさん待って…!!」

あの巨体を目を閉じたその数秒で倒したスカイさん、本当に貴方はただの狩人なの?

わかってはいた。ゼルダ姫が友人と呼んだり、兵士たちが尊敬していたり普通の人じゃないってことくらい。だけど、こんなの想定外すぎる。
マーロンにだっていた力自慢の大男達。だけど、彼らだってあの魔物を倒すことはできない。
普通の男性より華奢な彼が一体、どうやって倒したっていうの?

でも、私、何処かで知ってた。

彼がもっと強いこと。
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