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ゼルダの伝説 時を超えて

第1章 第一章


俺たちは知っている。その言葉には私も含まれているのだろうか。

ハイラルの使者がマーロンに持ってきた石板の内容。
女神ハイリアの【神託】。抗うことのできない未来。

古のハイリア人たちが生きた世界、その混沌の時代に生まれし邪悪なる存在【終焉の者】。石板の前半内容はその者の魂、封印と目覚め、神々に選ばれし勇者によって鍛えられた退魔の剣「マスターソード」によって永遠の眠りについたことを簡略的に書かれていた。その後、空に逃げていた人々が大地に戻ってきたこと。平和な世界が永遠に続く、そんな気がしていたことも。

彼女はある日夢を見る。それこそが石板の後半部分。
【ハイラルの大地に生まれし邪悪なる者の新たな目覚め】

おおよその内容から見てガノンドロフのことを書いているのはよくわかった。黒き影を背負う砂漠の大地に生まれし盗賊の長、その魔力を用いてハイラルに混沌を招く者。ハイラルの賢者たちによって行われるその者の封印。分裂する未来のなかでいずれ【影に覆われる世界】への伝言。

勇者に選ばれし者の死。世界を覆う影。彼女はそれを止めてくれと言う。

「ガノンドロフは…また、ハイラルに戻ってくると…?」
「ああ」
「でも、どうやって」
「…普通の人間ならできないさ。だが、奴は…」

力のトライフォースに選ばれし者。
彼は言葉を続けなかったけれど、なんとなくそう言いたかったのだと思う。これほどまでに美しいハイラルの大地を覆う影。その脅威と向き合わなければならないという真実。この重圧を彼は気づいているのだろうか。

「でも、こうも書いてましたよね。【悪しき者を封印するための術、それは空の勇者によって世界の各地に。ひとつは深き森の奥に、ひとつは高き山のなかに、ひとつは暗き水の底に、ひとつは魂眠る死者たちの腕に、ひとつは乾いた砂漠に佇む女神の胸に、最後は時の狭間に】」
「つまり、それぞれの神殿のどこかに、ってところだな」
「でも、希望はあるわけでしょう?」
「…そう、だといいけれど」

彼は左手の甲をチラリと見た。何か気になる痣でもあるのだろうか。

「とにかく、まずは深き森の奥【森の神殿】で、何があるのか確認をするべきだ」
「そうですね」
「森の奥にエポナを連れて行くことはできない。別れの挨拶をしてくる」
「あ、はい」

彼は使っていた皿を桶に突っ込むとそのまま扉から出て行ってしまった
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