第7章 油断大敵
カランと音を立てて扉が開く。
安室さんは私から離れて、すぐにいらっしゃいませと入口へと向かった。
なんだったんだろ。分からん。
けど、なんだか、安室さんの雰囲気がいつもと違うように感じた。
もしかして安室さんは自分の子供が欲しいのかな?
でも彼女が居る様子はないんだよね。
ま、安室さんはいつも訳が分からないことをするから考えても仕方ない。
そう結論付けて、氷の溶けたアイスコーヒーに口をつけた。
「あれ?お姉さん」
「あれ、コナンくん」
先程のお客さんはコナンくんだったようで、私に気付いて寄ってきてくれた。
あの日以来、二度目に会うのによく覚えていたな、というのが私の率直な感想だ。
小学生ってこんなに記憶力よかったっけ?
まあ、でも一度会っただけでも出会い方がインパクトあれば覚えてることはあるか。
ん?コナンくんとはインパクトある出会いなんてしてないぞ?じゃあ単純にコナンくんの記憶力が凄いのかな?
などと考えていたら、腕の中の赤ん坊に気付いたらしいコナンくんが突然変な事を言うから思わず大声が出た。
「え…。お姉さんと安室さんの子供?!」
「っ!ちがう!!!」
腕の中でビクリと揺れた赤ちゃんは、小さく顔を歪める。
あ、やばい。と思った。
ふぇ、と小さく声が聞こえた瞬間、立ち上がりゆらゆらと揺らしながらトントンとお尻を叩く。
「うるさくしてごめんね〜。まだ寝てていいんだよ〜」
小さく囁やきながらゆらゆらを続ければ泣き声は大きくなることなく、またすやすやと寝息を立て始めた。
よかった…。
ほっとしてまた座ればコナンくんが小さな声で「ごめんなさい」と謝ってくる。
「いや、私がつい大きい声出しちゃっただけだから。驚かせてごめんね」
「でも、この子どうしたの?」