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【降谷零】なにも、知らない【安室透】

第7章 油断大敵


携帯の音で目が覚めた。
家にいる間はマナーモードにするな、と安室さんに言われて音が出る設定にしておいたから。

ぽやぽやする頭で目を擦りながら出てみたら、安室さんの声と、赤ちゃんの泣き声が聞こえてきて、一気に意識が覚醒した。

『悪い。急いでポアロに来て欲しい』
「…隠し子」
『殴られたいようだな?』
「え、いやいや。すみません」
『とにかくなるべく早く来て欲しい。場所分かるか?』
「なんとなく覚えてます」
『よろしく』

く、が聞こえるか聞こえないか辺りで電話が切れた。
赤ちゃんらしき声はずっと聞こえて来てたから、何かあったのかな?
ハロちゃんにお留守番よろしく、とおやつをあげてすぐに出掛けた。
運良くタクシーもみつかり、10分程度で喫茶店につく。
カランカランと音を立てながら扉を開くと、中には安室さんが赤ん坊を抱えていた。

何事なの。

やっぱり隠し子か?と考えていたのが顔に出ていたらしく、すぐに安室さんが来てほっぺをつままれた。解せぬ。
タイミングがよかったのか、お客さんは誰も居なくて、どうやら安室さんは赤ん坊を抱えて右往左往していたらしい。

「どうしたんですか?」
「毛利さんに押し付…、頼まれてな」

押し付けられたらしい。そういえば毛利探偵事務所の弟子?をしていると言っていたような気がする。
安室さんの腕から赤ん坊を取り上げて、あやしてみる。

「可愛い〜。この重さ久しぶり」
「マスターは買い出しで、梓さんは夕方からでどうしようかと思ってたんだが…。慣れてるな?」
「ああ、まあ。乳児院の手伝いもしていたので。ところでオムツやミルクは?」

押し付けて行ったなら預かっているのだろうか。というかどうして毛利さんに押し付けられたのか。

「ミルクはあげたばかりだと言われたんだが」
「それ何時頃ですか?」
「りおに連絡する30分くらい前らしい」
「んー。分かりました。ごめんね、ちょっとオムツ見せてね。」

安室さんに案内されて赤ちゃんをソファ席に一度下ろす。
泣き声がさらに大きくなって、安室さんはそわそわしている。

「キレイだね。そっか。じゃあ眠いのかな?」

確認したらオムツはまだ濡れていないようだった。だとしたら眠いのに寝れない泣きぐずりかもしれない。
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