第6章 生きる意味を~数年後の自分~
「一つ目なんだが、リヴァイと知り合いだったのか?」
「えっと…」
「いや、言いにくいならいいんだ。強要はしないよ」
「いえ、話せます。リヴァイとは幼いころ1年だけ一緒に暮らしました」
「そうなのか…。では、二つ目。リヴァイとはどんな関係なんだ?」
どんな関係…?
家族…?
いや、少なくともリヴァイはそう思っていなかったはず。
今の関係で、いい。
「ただの…上官と部下です」
「今じゃない。昔は…どんな関係だったんだ?」
「…わかりません」
「…そうか」
エルヴィン団長が、オレとの少し開いていた間を詰めて座りなおした。
「最後の質問だ。君は生物学的には、女だね?」
「…はい」
急に暖かい何かに体を包まれた。
エルヴィン団長に抱きしめられたのだ。
「すまない。こんなつもりで来たわけじゃないんだが、少々抑えがきかなかった。しばらくこのままでもいいか…?」
何も答えず、エルヴィンの背中に手をまわし、抱きしめ返した。
暖かい。
エルヴィンは兵服を着ていたままだったがとても、暖かかった。
他人の体がこんなに暖かく感じたのはいつぶりだろうか。
「もう、少し。このままで…」
「あぁ…」
しばらく抱き合った後、エルヴィンはおやすみと言って帰っていった。
エルヴィンが座っていた場所が寂しくなった。
オレはこんなに寂しがり屋だっただろうか。
いや、いつも誰かがそばにいるのが当たり前だったから。
リヴァイと一緒に過ごして、"愛"の存在を知ってしまったから。
「…寂しい」
誰にも言えない満ち足りない気持ちは、牢の冷たい空気に溶けていった。
どうしようもない気持ちを捨てられないまま、睡魔に身を委ねた。