第9章 過ち
陸奥守「前みたく、戻れとは言わん。ただわし達は前に進まないといけないんじゃ…。」
「…。」
陸奥守「おんしゃ…。」
「…。」
光を失った主はとても脆く直ぐにでも壊れてしまいそうだ。
何か言葉を発しようとした時、勢いよく襖が開かれた。
「いい加減にしろよっ!!!」
鶴丸国永が今にも泣きそうな、でも鋭く厳しい目を蓮月に向け声を上げて入り込んできた。
鶴丸「悲しいのは苦しいのは分かる!!!だがな!? いつまでもそうクヨクヨしてられないんだよ!!!俺達は刀だ!!!!
こんな人間の勝手な思いで止まられちゃあ、俺達がこうしてまた生まれた意味がわかんないだろう!?!!」
今にも掴みかかりそうな勢いの鶴丸にすぐさま陸奥守が鶴丸の肩を掴んだ。
その掴まれた手を振り払い座っている蓮月の前に立ち止まる。
鶴丸「忘れろとは言わねぇ…寧ろ忘れるな…。そうして強くなる…なぁ人間もそうだろ…?」
突然弱々しくなる鶴丸に蓮月は顔を上げる。
鶴丸「そんな顔してたらあいつらも悲しむぞ…。」
鶴丸はクシャッと笑い蓮月の頭を優しく撫でた。
鶴丸「みんな、君を待ってる。一緒に頑張ろう、な?」
差し伸べられた手に蓮月は弱くも、手を伸ばした。