第23章 バレンタインデー

厨の食料庫に長谷部と向かい、一番始めに日頃の感謝を込めて長谷部にクッキーを手渡した。


「長谷部、いつも有り難う。こんな物で申し訳ないけどどうぞ」

「とんでもないです！なんと有難い。主の手作りのお菓子、俺が一番最初に受け取りました！ずっと大切にしまっておきます！」

途端に舞う誉桜。皆のクッキーが桜の花びらで埋もれていく…

「長谷部、今日中に食べてね。腐っちゃうから、主命だよ」

確か去年も同じことを言ったような気がするな…。

その後長谷部は皆が集まったところで、「主が心を込めて作って下さったバレンタインのお菓子だ。有り難く受けとれ」と大声で言い放つ。
や、やめて！そんな大した物でもないのに！途端に物凄く恥ずかしくなる。


「ほんの気持ちだからっ！手が空いたときでいいので取りに来て欲しいです…」


慌てて言い直したら、今剣が嬉しそうに駆け寄ってきた。


「あるじさま、それはくっきーですね」

「いまつるちゃん、そうだよ。少なくて申し訳ないけどどうぞっ！いつも有り難う」

「ありがとうございます！とてもおいしそうです」


いまつるちゃんがクッキーを受け取ってくれて、ピョンピョン跳ねながら嬉しそうに岩融さんに見せている。他の短刀ちゃん達もやって来てあっという間に私の周りを取り囲んだ。