第3章 正体
銀時side
「......」
「おい、出て来いよ」
空を見上げると近くの木々を止まり木にしている烏が数羽。
そしてそこには一際目立つ烏が一羽。
「ずっと視線送りやがって」
「落ち着かねェっつーの」
「...を"鬼"にしたみてぇだな」
「......本人が望んだ」
「これで良いんだ」
に血を分けてから、普段以上に平和が訪れた気がするのは俺だけだろうか。
「下町の人間はを忘れた」
「そりゃ、"人間"じゃなくなったからな」
「"朱目の鬼"か...」
烏である土方は妖と人間の秩序を保ち、監視している。
は重要監視対象であった為、ずっと見られていた。
「に要らねェ警戒心植え付けやがって」
「九尾のお前を信用しろと?」
「けっ、本当ムカつく烏」
"朱目"は俺たち妖をその目に写し、その血は俺たち妖の養分になる。
つまりはそういう事なのだ。
分からないって?
簡単に言えば、は妖を統べる者…"王"なのだ。
「やっと、"1人"じゃなくなったな」
「も......お前も」
「...本当、ムカつく」
何でも見透かしてる口調で話す土方を一瞥して背を向けた。
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