第1章 鳥来月
銀八先生に職員室で待たされてから
かれこれ時間が経った。
「あのな公野 神楽に何吹きこまれたかは知らねぇが
痔はうつったりしねぇから安心しろ な」
「そんなの心配してませんけど
もしうつされたら一生恨みますよ 服部先生」
「はは きっついなぁこいつぁ…」
こんな感じでヘビーな冗談も交えつつ
服部先生と距離が縮まっていった。
*
「どうだ公野 3Zの連中は」
「個性的な人が多いですよね
お弁当にマヨネーズすごいかける人とか
すごい暗い顔でアルバイトの情報誌読む人とか
あとはなんかおっきいあひるみたいな人が…
あれって人なんですか?」
「あぁそいつは…」
「あひるじゃない桂だ!
あっ じゃないエリザベスだ!」
「!?」
今なんかすごい声が聞こえたような…
しかもすぐ後ろから…
そんな変な感覚は気のせいではなかった。
*
「失礼します 日誌を届けに来ました」
「おー桂 委員おつかれさん」
「これは坐薬先生
今日は相棒(坐薬)はご一緒じゃないんですか?」
「なんで俺イコール坐薬なの?常にセットなの?
まぁこいつがしまえって言うから」
「あぁ 公野さんが」
「私の名前覚えてくださったんですか?」
「俺は学級委員なのだから
クラスメイトの名前誕生日血液型その他諸々を覚えるのは当然だ」
「細かっ!
それはちょっと遠慮したいんですけど…」
「公野ー そいつとは最低3m距離おけよ
バカとヅラがうつるから」
私と服部先生が軽く引いていたときに
私を待たせていた張本人が来た。
*
「先生」
「よぉ 待たせたな」
「すごい待ちましたよ」
「おーヅラおつかれ
いい加減髪切れな もしくは取れ」
「銀八先生これは地毛です取れません」
「おっし支度できた 帰るぞ公野」
「無視ですか 訴えてもいいですか?」
「あ ちょ先生待って!
じゃあ桂くんと服部先生 失礼します」
話が落ちそうになかったし
銀八先生に付いて行かないと校門まで辿りつけるか不安だったので
おしゃべりもそこそこに私は先生を追いかけた。