第1章 鳥来月
転校初日 隣の席の沖田くんに教科書を見せてもらったり
移動教室でついて行かしてもらったりして
なんとか放課後のHRまで過ごすことができた。
「特に連絡もねーからHRは終いにする
公野は放課後職員室に来るように
じゃあ解散っ」
*
一日長かった さすがに疲れたなぁ…
「公子 職員室の場所わかるアルか?」
「タコ様」
「タコ様じゃねーよ!私神楽 ちゃんと覚えるネ」
神楽ちゃんはお昼に誘ってくれた
チャイナドレスとセットでよくある頭のおだんごに
語尾がちょっと変わっている子で
タコさんウインナーのことをタコ様と言ったりする
中身もなかなか変わっている子だ。
「冗談だって 神楽ちゃん」
「グラでいいヨ そっちの方がすきアル」
「あー神楽だからグラね
わかった じゃあ私のこともハム子って呼んで?」
「任せるネ!
ほら さっさと支度して職員室行くアル」
「わ 待って待って!」
*
銀魂高校は結構入り組んだ構造で
しばらく過ごさないと教室の場所が覚えられなさそうだ。
先生にあぁ言われて少し困ってたから
グラさんに連れてきてもらってよかった。
「ほい ここアルよ
入ってすぐに坐薬持ってる奴いたら
何にも言わないで逃げるがヨロシ
すぐぶっとばしてやるヨ」
「坐薬?そんな人いるの?」
「いたらの話アル いないに越したことはないけどナ」
「はは じゃあ行ってくるね
ありがとグラさん」
「いつでも頼るがヨロシ!じゃ私帰るネ」
*
「おー来れたか よかったよかった
もーちょいで採点終わるから待ってな」
「私どこいたらいいですか?」
「うーん じゃ俺の席座ってな
机の下のジャンプなら読んでもいいから
なんなら俺が代わりに読んでやろうか?」
「そんなのいいから早く仕事終わらしてきてください」
「はいはいっと」
ぎっ、と小さく音をたてた回転椅子に座ったのはいいけど
やっぱりすることがないので
先生の机にあるものを見ていた。
ジャンプやら教科書やらで散らかる机の隅に
見覚えのある写真が飾ってあった。
「これ…」
その写真の中で
今より若い銀八先生が私をだっこして写っていた。