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ゆるりふわり

第1章 鳥来月



転校初日 隣の席の沖田くんに教科書を見せてもらったり
移動教室でついて行かしてもらったりして
なんとか放課後のHRまで過ごすことができた。

「特に連絡もねーからHRは終いにする
公野は放課後職員室に来るように
じゃあ解散っ」



一日長かった さすがに疲れたなぁ…

「公子 職員室の場所わかるアルか?」
「タコ様」
「タコ様じゃねーよ!私神楽 ちゃんと覚えるネ」

神楽ちゃんはお昼に誘ってくれた
チャイナドレスとセットでよくある頭のおだんごに
語尾がちょっと変わっている子で
タコさんウインナーのことをタコ様と言ったりする
中身もなかなか変わっている子だ。

「冗談だって 神楽ちゃん」
「グラでいいヨ そっちの方がすきアル」
「あー神楽だからグラね
わかった じゃあ私のこともハム子って呼んで?」
「任せるネ!
ほら さっさと支度して職員室行くアル」
「わ 待って待って!」



銀魂高校は結構入り組んだ構造で
しばらく過ごさないと教室の場所が覚えられなさそうだ。
先生にあぁ言われて少し困ってたから
グラさんに連れてきてもらってよかった。

「ほい ここアルよ
入ってすぐに坐薬持ってる奴いたら
何にも言わないで逃げるがヨロシ
すぐぶっとばしてやるヨ」
「坐薬?そんな人いるの?」
「いたらの話アル いないに越したことはないけどナ」
「はは じゃあ行ってくるね
ありがとグラさん」
「いつでも頼るがヨロシ!じゃ私帰るネ」



「おー来れたか よかったよかった
もーちょいで採点終わるから待ってな」
「私どこいたらいいですか?」
「うーん じゃ俺の席座ってな
机の下のジャンプなら読んでもいいから
なんなら俺が代わりに読んでやろうか?」
「そんなのいいから早く仕事終わらしてきてください」
「はいはいっと」

ぎっ、と小さく音をたてた回転椅子に座ったのはいいけど
やっぱりすることがないので
先生の机にあるものを見ていた。
ジャンプやら教科書やらで散らかる机の隅に
見覚えのある写真が飾ってあった。
「これ…」
その写真の中で
今より若い銀八先生が私をだっこして写っていた。


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