• テキストサイズ

ゆるりふわり

第1章 鳥来月





「公野公子です
親の仕事の都合で越してきました
わからないことだらけなので助けてもらえたら嬉しいです
よろしくお願いします」
長い待ち時間で冷えた指先で
なんとか名前を書いて自己紹介を済ませた。

言い終わりクラスを見渡すと
なかなか個性的なビジュアルの同級生たち。
その中の一人が血まみれで机に突っ伏していた。
「ちょ わ!大丈夫ですか?」
「いいのよ公子ちゃん そのゴリラはオブジェだから」
「でも血が…」
「いいんだ公野 そいつは今日からオブジェだ」
「? はい…」
「いい子ね 私は志村妙
よろしくね公子ちゃん」
にこ、と微笑む妙ちゃんにつられて
私の頬もほころんだ。
「こちらこそよろしくね 妙ちゃん」

「おーおー早速友だちできたっぽいな
公野はおそらくZ組始まって以来の常識人だ
丁重に かつ慎重に扱うよーに」
「私は割れ物か何かですか」
「はは まぁ冗談は置いといてだな
お前の席はあそこな 一番後ろ」
言われた席についたところでチャイムが鳴った。
「おし 間に合った
公野 わからねぇことは隣の沖田って奴に聞けな
じゃあ先生ジャンプ買いに行ってくっから
お前らは勉学に励むように」



隣の席 窓際の最後列に座る
沖田という人の方を見た。
さらさらの茶色の髪に甘いマスクだけど
どこか冷めた目をしている。

「沖田くん 公野です
これからよろしくね」
「ん あぁよろしくされまさァ」
少しそっけないけど一応会話は成り立った。

「早速なんだけど私まだ教科書もらってないから
次の数学 一緒に見さしてもらってもいい?」
「…しゃーねぇなァ」

こんな感じで
私の新たな高校生活は始まった。


/ 14ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp