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【進撃の巨人】月明かりのあなた【リヴァイ落ち】

第13章 焦燥


ルーカスside

リンが行ってしまったあと、俺はハンジ分隊長に大量の書類の作成をしておくように言われ、やむなく部屋へ戻った。だが、とても仕事なんてしていられる心境ではなかった。

ルーカス「リン...」


あれから、俺はなんとか分隊長に言われた書類を終わらせ、食事を取る気にも、休む気にもならず、門の前に立った。もう夜遅くだというのにリンが帰ってくる気配はない。



何時間も経っただろうに、一向に時が進んでいないと感じるのはなんでだろうか。
ルーカスは鬱蒼と広がる闇夜に過去を思い出していた。


-ウォールマリア陥落から数日後-

ルーカス・ワグナー 15歳。
俺は、医者だった父の使いでウォールマリアから知り合いの医師のもとに来ていたために、助かった。結果として、父もそして母も死に、俺だけが生き残った。

知り合いの医師は、俺だけが助かったことを、きっと両親が守ってくれたんだとか言っていたが、俺はそんな風に思える余裕を持ってはいなかった。

一人だけ生き残った。もう、愛する家族はどこにもいない...。その事実が痛ましくいつまでも自分を支配した。だが、こんな俺を救ってくれたのは、リン...お前だった...。


医師に連れられて、移民たちが住む場所を訪れた。そこには、腕を噛み砕かれた男、誰かを必死に探している老人、死んだ目をして座り込む子どもがいてとても見るに耐えない光景が広がっていた。

俺はできることなら、逃げたかった。そして、家族も、暖かかった日常も、思い出も、すべて忘れてしまいたいとさえ思った。だが、知り合いの医師は、人手不足を理由に、父親から医学を学んでいた俺を手伝わせた。

ある時から、治療をしていた移民たちの口から妖精という言葉を聞くようになった。はじめは、気がおかしくなってしまったのかと思ったが、その妖精は夜から朝にかけてこの移民たちのもとへやってくるらしい。

俺は嘘だと思ったが、なんとなく気になって夜そこへ行ってみることにした。

するとそこには俺と同じくらいの少女がいた。彼女がいろんな場所を周り、手を握り、何か話をすると、移民たちは涙を流したりたちまち笑顔になったりしていた。

ルーカス(何が妖精だ!!人じゃないか!!どうせ、宗教じみたセリフを垂れ流す、いけ好かないやつに違いない!!)
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