第13章 焦燥
ルーカスside
今日、ハンジ分隊長が会議があるとかで..馬の用意をするよう頼まれていた。なんで俺なんだと少し疑問に思ったが、俺は休みの日に早起きして食堂へ向かった。
眠気を冷まそうとコーヒーを飲んでいると、
モブリット「リン...なのかい..?」
俺の耳に、確かにリンという単語が聞こえてきた。
振り返ると、
ルーカス「......‼︎」
今までに見たことないほど、美しいリンがそこにいた。
シナ「あっ、モブリットさん!ルーカスさん!へへーん、リンさんすごく綺麗でしょー!!リンさんが大切な用があるからって、私が化粧をしてあげたんですよー!!」
化粧をしたのか...。確かに、薄化粧ではあるが、リンに似合うように華やかすぎず、リンの透明感や整った顔立ちを引き立たせるように工夫されていた。薄紅色の口紅は、リンのちいさな唇を艶やかに色どっていた。
だが、重要なのは、その大切な用とやらだ。リンは今まで、こんな風に着飾って出かけることなど一度もなかった。それに、どこか特別な場所へ行くときは、俺に先に話してくれていた。
ルーカス「それで、そんな格好をして、一体どこに行くんだ?」
俺は、たまらなくなって、リンを褒めることもなく、聞きたい質問をした。
「ハンジさんの...」
シナ「そんなの男の人のところに決まってるじゃないですかぁ!!女性が着飾るときなんて、デート以外ありませんよ!!あっ、もう時間じゃないですか?さあさあ、行きましょう!!」
リンは何か言いかけていたが、シナに遮られるようにして、そそくさと連れて行かれた。
俺は、すぐに後を追って、どんな男の元へ行ったのかつきとめようとしたが、ハンジ分隊長に肩を掴まれ、止められてしまった。
ハンジ「どこに行くんだ?そろそろ、馬の用意をしてもらいたいんだが?」
遠くの調査兵団の門の辺りで、リンが男と話しているのが見える。そして、リンは男の馬車に揺られて行ってしまった。