第12章 遠い記憶
ミカエルside
シナに半ば強引に街に連れ出されてからというものの、シナは私に可愛い服の店や可愛い雑貨の店を教えてくれた。
シナ「これっ!!絶対リンさんに似合いますよ!!...ほら!!」
薄い水色で品のいいレースの刺繍が入ったワンピースを、シナは私の体に当ててそう言った。
「こんな可愛いの、私にはとても...」
シナ「そんなことないですよ!!ねっ!!」
シナは睨みつけるように後ろの二人に話を振った。
モブリット「あ、あぁ、きっと似合うと思うよ」
ルーカス「そんなに言うなら一度着てみるといい」
私は、3人に言われて試着してみることにした。
「こんな綺麗な服を着るのは初めてだなぁ...。」
プレミンジャー邸にいた頃、メイド達がこれよりもっと華やかなものを用意していたが、私は一度も袖を通さなかった。
「ど、どう..ですか?」
三人「.....。」
モブリット「かわい..」
シナ「可愛いすぎます!!!いやあ、もうこの服はリンさんのために作られたんじゃないかってくらいぴったりです!!」
モブリット「遮られた...けど、リン、本当に似合ってるよ。本当に妖精みたいだ。」
「あ、ありがとうございます...!!」
一人黙っているルーカスにも不安になって聞いてみた。
「ルーカスはどう思う...?」
ルーカス「...あまりに綺麗で見惚れていた。お前はもっと自信を持っていい」
シナ(ふふっ、最初は不安だったけど、二人ともちゃんとリンさんの彼氏役やってくれてますね。リンさんも赤くなってるしハンジさん!!作戦は大成功みたいです!!)
みんなに褒められて、なんだか恥ずかしような嬉しいような気持ちになった。私は、シナに促されるまま服とそれに合う靴や化粧道具まで買って帰った。次にいつ着る機会があるか分からないので、服は着て帰ることにした。