第3章 ハニー・ナースコール②
「好きなんです……」
そう言った瞬間、彼は顔を上げた。
「あっ、麻倉さん…!」
しかしまたそこで、静寂が流れる。
「キス…してもいいですか…」
「えっ……は、はいっ…!」
彼は顔を赤らめたままギュッと目を瞑った。彼女はそっと唇を重ねるが、彼の唇はキュッとしまったままだ。
「力、抜いてもらえますか…」
「はいぃっ」
これではまるで童貞ではないか、と思うような反応の連発に七七七はますます戸惑う。
しかし、彼が淫魔かどうか確かめるにはセックスして、七七七自身が絶頂に至らなければ確かめられない。
淫魔は人間がエクスタシーを感じた瞬間に精気を奪う。そして精気が奪われたかどうかは淫魔にしか判断できない。
今、どこかでこの状況を見ているはずの夢野の前で高杉とセックスして、それを確かめるしかないのだ。
高杉の唇から力が少し抜けたのを確認して、ディープキスを始める。静かな部屋にチュッチュッと水音が鳴る。
唇が離れると、2人の吐息が重なった。
「すみません…僕、こういうこと慣れてなくて…。」
「いえそんな…大丈夫です。」
また、沈黙が流れた。
彼女はドギマギしながら、彼の着ている上着に手をかける。